フォト
無料ブログはココログ

« あけびの花 | トップページ | ケーキはアートだ!! »

3月の読書

3月は少し本棚の整理をしたいと思ったので、ブックオフ行きになる本と、永久保存になる本の見極めをするため、再読月間でありました。

だからご紹介する本はかなり古い本です。でも名作だからちゃんと残っていると思います。まずは山さんのバイブル、師岡幸夫著「神田鶴八鮨ばなし」

柳橋の「美家古鮨」で修行を積んで神田に店をもった著者の、江戸前の鮨とはどういったものかについて鮨を握っている側からの解説と自分自身の修行話が、なめらかな文章で綴られています。(口述したのをまとめた感じかしら?)ひとりの若者の成長譚とも読めるし、お鮨のこともよくわかる。あと、なにしろ「食」に携わる者としての姿勢がビシビシと伝わってくる好著です。

この人のすごいところは非常に考え方が合理的(というのとはちがうかな?)思考がグダグダしていないところでしょうか。だから鮨についての解釈でも「伝統的な」ということにばかり捉われていてはいけない。最終的なゴールは「お客様に美味しいお鮨と召し上がっていただくこと」であると、きっちり見定めたうえで、その時代にあった仕事をし、かつお客様の味覚の広がりにも対応していくという自在さをもっているところでしょうか。そして著者がそのレベルに達したのは、芯のところがぶれないだけの修行をしたからという自信が土台になっているようです。修行ひとつにしても、この人は相当に理屈っぽくて、並みの親方では彼を御せなかったと思うのですが、それだけの器の人、美家古鮨の親方に出会えたからこそ、華が咲いたのだと思います。

これを読むともちろんお鮨をものすご~く食べたくなるけれど、本当の仕事をしている鮨屋さんでないと満足できなくなるので、お財布との兼ね合いでちょっと難しいのよね。頭の中でお鮨を堪能するばかり。でもこういう頭の中がすっきりした人の話を読む快感はあります。

さて、次はタコ社長のバイブル海老沢泰久著「美味礼賛」

あくまで小説と銘打ってはいるけれど「大阪あべの辻調理師専門学校長」の辻静雄氏の伝記です。これを読むとどうして戦後の短期間で日本にこれだけちゃんとしたフランス料理が根付いたかが理解できます。彼の舌とそれを正しく伝えようとする真摯な姿勢があったればこそだったのですねぇ。

マダム・ポワンという最良の庇護者のもと、フランスに滞在してありとあらゆる料理を食し「文化としての美食」を体に刻み付けていくという体験とその時に培った人脈で、その後の辻調理師専門学校を大きく成功させた辻氏の半生を描きつつ、その下には「文化としての美食と生きていくための食事」という時として相反する食の捉え方の対比が顔を覗かせます。

私の登戸の先生も「どうして、ケーキは膨らむのか。どうして焼き色はつくのか?」といった疑問に諸先輩方も、当時の製菓学校の先生方も答えられないことに業を煮やして学校に掛け合って、ドイツに単身「オープンリール」の機材一式を背負って大陸を横断して出かけた人です。ドイツ語がわからないながら、ドイツの製菓学校での講義を「オープンリール」に納めて、帰国費用がないので帰りは客船でパティシェとして働きながら帰ってこられたそうです。東京オリンピックの年のことで、この辻静雄氏の渡航の少し後のころですね。

今、私達が日本にいながらにして誰もが各国の本格的な料理を口にすることが可能になったのはこうした先人達の努力と、なにより「正しく広く伝えよう」とした私心を越えた姿勢のおかげなのだと思います。

もちろん、小説としてもとても楽しめます。

最後は山田営業本部長のバイブル・・・・と思ったのですが、なにしろこの人は「週刊ポスト」くらいしか読まんからなぁ。

Cimg2944

« あけびの花 | トップページ | ケーキはアートだ!! »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

そっかあ・・・そうですよね、今私たちが諸外国の美味しいものを食べることができるのも、そういった方々の、地味だけどきちんとした仕事の積み重ねによるところが大きいわけですねえ。
感謝感謝だなあ。そして自分がいかに甘甘かと・・・(汗)
この2冊、恥ずかしながら未読です。
いずれ読んでみることにします。

営業本部長の週刊ポストはともかく、あとは事務員の山ちゃんの愛読書が気になりますー♪

いや~山田営業本部長、週刊ポストしか読まないと見せて実はすっごく意外なものを読んでいそうな気がします!

私はこの間コンビニで日本文芸社の500円コミックス「気分はアジアめし」を買って、結構楽しんでしまっております。あと「深夜食堂 1~3」とか。(これもマンガでーすcoldsweats01

>ちーさん

この2冊、多分図書館とかにあるようにも思います。(さばさん!置いてる?)とても読みやすいので是非!

事務員の山ちゃんが果たして雑誌以外の本を読むのか・・・来月の読書記事までに取材してみます。でも山ちゃんが仕事の合間に読んでいる雑誌っていうのもファッション誌でも料理雑誌でもなくて月刊「寺門興隆」である、というとこらからして謎なのよね。

>さばさん

コンビニでそういうマンガも売ってるんだ。マンガの「食もの」でいえばこの前、よしながふみさんの「愛がなくても喰っていける」を読みました。

山田営業本部長が読んでいる実はすっごい意外なもの・・・「中原中也詩集」だったりして。

「寺門興隆」!
山ちゃんとは、すごく仲良くなれそうな気がシマス(笑)

「愛がなくても・・・」持ってます!
「昨日何食べた?」も面白いですよ〜☆
よしながさんのは食べものがすっごくおいしそうで、つい買っちゃうんですよねえ(笑)
「深夜食堂」も面白そうだけどまだ未読なんですよ〜!

図書館、その手がありましたね、検索予約しておこっと。

面白い本が月末に出ます。
金子貴一『秘境添乗員』。
文芸春秋社の『本の話』に連載されていたもので、出る前から話の面白さは折り紙つき(連載を読んでいたのです)。
実は個人的な友人でもある人なんですが、身びいきでなくオススメですよん。

前作は『イラク自衛隊従軍記』で、こちらも単なるルポを超えた快著でしたが、今度はもっと幅広く色々な国のとんでもなく面白い話が色々出てきます。
ああ、早く出ないかなと指折り数えて待っているのです。
本屋さんの店頭で見かけたらパラパラ覗いて見てくださいまし。

「寺門隆盛」HPを検索したら、読者レビューに
「やまチャン 部長」 からの投稿が載っていましたよー!

「昨日何食べた?」は私からもオススメいたします。
にっきさんとシロさん(主人公)はお料理をめぐって、絶対に意気投合すると思う♪

>ちーさん

さすが!「寺門興隆」をご存知でしたか。事務員の山ちゃんはどこで出会ったのか分かりませんが、私は新聞の広告で「なんか面白い雑誌あるなぁ」とずっと興味深々でありました。
昨今お寺さんもIT化が進んで「戒名ソフト」なんつうのもあるみたいで、そういう生きてるお寺さんの「今」が広告の文面から読み取れて面白いですよね。

>アリーマさん

ほほう、面白そうなご本の情報をありがとうございます。月末ですね。

最近は通勤時間が長いのでけっこうまともな本も読むことが出来、本は欠かせないです。「聖★お兄さん」を自由が丘で買って不気味な忍び笑いをしながら帰路につく・・・なんつう日々でもあるわけですが。

>さばさん

いるんだねぇ、「山ちゃん部長」なる人が。びっくりしましたわ。

「昨日何食べた?」は興味あるのだけれど、実は未読です。しかし、年とともに昨日何食べたか思い出せなくなる日もアリ。忙しいと日々の食事はひどいもんです。羊の顔を見ながら「ドックフードみたいなもんがあればどんなに楽か・・・」と思わなくもないです。

>羊の顔を見ながら「ドックフードみたいなもんがあればどんなに楽か・・・」と思わなくもないです。

オットフードってヤツですね♪
缶ぱっかんで「オットだ~い好き!」「オットまっしぐら!」
あればいいのに。

『昨日なに食べた?』はワタシからもオススメします。
にっきさん、当然読んでるだろうと無条件に信じていたくらい・・・。

日々の献立・材料遣り繰りの話で主人公はゲイ。
所帯じみた日常からは離れ、しかし「オトコの料理話」によくある凝り症自慢臭いウザウザ感はゼロのいいキャスティングです。

>アリーマさん

そうそう、オットフード!
出来れば「年齢別」とかいうのがあって、老齢期のオット用というのがスーパーの特売で山積みになっているとイイナ。

ワタクシのにゃんフード(自分用)というのは多分サバ缶なんだけれど、でもこれだけじゃ野菜摂れないしね。なにが大変って仕事帰りにその日の夕食用、明日のお弁当用、日々の欠品(バターだの油だの)それに加えて私の場合はご注文品の材料だの、レッスン用の材料だのが加わるので、荷物が重いというより頭の中がグチャグチャになるのが大変。あらかじめメニューを決めるよりその日の安いもんで作ろうなんて思うものだからさらに混迷を極めます。一日で一番脳細胞が活性化している時間帯のハズ。

みなさんがそんなにすすめてくださるのですから、わかりました「昨日なに食べた?」は近日購入いたします。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« あけびの花 | トップページ | ケーキはアートだ!! »

2016年11月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30