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ごろうじませ、のんた

うちの母方の祖父母は山口県の瀬戸内海の島の出身だそうだ。祖父が東京に出るというので、ミーハーな祖母は「それなら♪」といって祖父のところに嫁いだというふうに聞いている。

だから母達姉妹は東京の生まれだけれど、母にとって田舎は山口県の島である。子供のころその田舎に行くと、島の女性達はなにか話すたびにこの「ごろうじませ、のんた」という言葉を最後に付け加えるそうで、東京うまれの母にとってその言葉はまるで呪文のようだったそうだ。

「ごろうじませ~。のんた。」

優しい響きのこの言葉の意味は「ごらんなさいませ、ねぇ、あなた」というとても優雅で優しい言葉、古語である。

子供の時にこの言葉のことを母から聞いて、なんか良いなぁ~と思った。

あと「せんない」という言葉は、私は別に山口の言葉とは思っていなかったのだけれど、「せつない」とも「しょうもない」とも言い替えれない、やるせないようなニュアンスは確かに伝わってくるので、普通に口にしていたのだけれど、ある時、山口出身の男の子との会話でなにげなく言ったら、非常に驚かれたことがある。それは山口の方言だよ~とその時は言われたけれど、「せんない」も山口の言葉、というより、もしかしたら古くから残ってきた古語のかけらなのかもしれないなぁ。

そんなふうに土地の言葉には、標準語にはない言葉の魂やいきいきした息吹がのこっているようで私は好きである。父方の田舎、鳥取に遊びにいくと叔母の勢いのある言葉の奔流に飲み込まれて、すっかり頭の中の自分の言葉まで、土地の言葉のイントネーションに変わってしまったりするものね。たまにケーキのレッスン時に、シュール・リーさんがご主人の郷里の秋田弁を披露してくださると、途端にその場の空気が躍動感にあふれてくる気がする。言葉が息を吹き返す・・・そんな気がするのだけれど。

さて、なんでこんなことを言い出したかというと、最近、こういうとき標準語だとどうしてもキザったらしくてうまく言えないなぁ・・と思ったからである。

私が通勤で使っている時間帯はちょっと朝のラッシュからはピークがずれているので、たまに座れてしまったりすることがあって、そのあとに、お年を召した方がのっていらっしゃれば私は極力席をお譲りするようにしている。

気持ちよく席に座っていただく為の言葉は最近、会得したので不自由はない。(どうぞ、と言って席を譲っても固辞される方には「だって、私のほうが足が太いですよ~」というとたいがい笑って座って下さる。事実なだけに説得力があるんだわサ。)

問題はそのあと、私が乗り換えのために降りようとすると、大概、席を譲った方から会釈をされたり、お礼を言われたりするわけで、それに対応する言葉がうまくでず、なんとなくモゴモゴと口ごもってかっこよくないわけである。

英語ならば「はぶあぐっどたいむ」とかなんとか軽くて適当な言葉があるのだけれど、現在のところいわゆる標準語には、こういう場面にちょうど良い、軽いご挨拶の言葉が見当たらない。まさか「あなたに今日一日、神のご加護がありますように」とはいえないし、とりあえず「お気をつけて」とかなんとか言ってごまかしているけれど、これだって今のご時世、「道中お気をつけて」なんぞは時代劇の言葉のようで変だしサ。

唯一、「はぶあぐっどたいむ」に近い標準語は「ごきげんよう」なんだろうなぁと、最近思いついたわけではあるが、毎日ギリギリまでいろいろなことをして飛び出してくる私のいでたちは寝癖のついたくしゃくしゃの髪の毛に、膝の抜けたコーデュロイのパンツ、グルグル巻いたマフラー、デカイ鞄ときたもんだ。

「ごきげんよう」?

どこがじゃ、だれがじゃ、どーしてじゃ?ってもんである。

こういういでたちのオバサンが口にしてもおかしくない、キザでもない、方言なり古語なりをだれか復活させてはくれないだろうか・・・。

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コメント

ああ、確かにぴったりと合う言葉を探すのは難しいですねぇ。
この場合、秋田弁だとさしずめ
「ナンもだぁ。」でしょうか。
何ていうことはありませんよ=どういたしまして
と言った感じではないかと。
アクセントは『ナ』に置いて下さい。
優雅な田園都市線で、朝、高齢者に席を譲る
やさしげながらもくしゃくしゃヘアーのマフラーぐるぐる妖怪。
「ナンもだぁ~!」
と言って立ち去る。。。

新たな都市伝説が生まれそうです。

>リー様

お加減はどうですか?リハビリに通っていると先日ちーさんから伺いましたが、少しずつでも楽になってきていると良いのですが。

「ナンもだぁ」っていうのも良いなぁ。これ言うときはくしゃくしゃの笑顔で言うとぴったりだと思います。こんどのレッスンでは正しい発音をご教授くださいませ。

「お気をつけて」っていうのは、「お気を確かに」と
間違えやすいから気をつけたい・・って、普通は間違えないでしょうが。

こういうときって、「どうも」っていう言葉をみんな良くつかってませんか?
その抑揚で、いろんな場面で使える便利な日本語になってるみたいで。
外国に行った時に「日本人のまね」と言って
「どうも、どうも」ってお辞儀するのを見せてもらったことがある・・。

あ、うちの母方の祖母も瀬戸内の島出身です!お知り合いかも⁈
ブルは、日本語でなにを言っていいかわからない時は「そうです」と「どうも」で乗り切ってます。

>hirorin

みんなNHKのどーも君になるわけだわね?
あれはあれでかわいいのだけど、「どうも」だとそれで話が終っちゃうので物足りないのよ~。
静岡って方言らしい方言ってある?

>倫敦さん

ええ~?ルーツが一緒だったりして♪
茶がゆ(ほうじ茶で炊くお粥です)とか食べたことあります?

「そうです」と「どうも」であいまいな微笑みを浮かべてその場をしのぐブルさん!!!
すっかり日本人化している気がします。

秋田弁ネイティブですが「ナンもだぁ」は
半笑いくらいで、ちょっと脱力っぽく言うのが良い感じです。
石川出身の子によると、同じ意味合いで「な~ん・・・」と言うそうです。
これは結構気に入っているので、ワタシ日常的に使っています♪

>つむぎさん

あ、半笑いね。
なるほど~。
「な~ん・・・」というのは基本的に「どーも」と同じようだけれど言葉の温かさが圧倒的にちがうね。
使えるかも♪

自分はどうしてるかなぁと考えたところ、
やっぱり「おきをつけて~~」か、または 言葉発せずニッコリして、ちょっとくびをかしげて会釈。これで通してマス。

>るるさん

以前、電車の中でちょっと女の人にぶつかって「あ、ごめんなさい」って言ったらすかさず「どういたしまして」って返事が返ってきて、なんだかその日は一日すごく嬉しかったの。

だから及ばずながら、私も誰かに言葉のプレゼントが出来たらいいなぁ~と思っております。
るるさんもなんか良い台詞考えてみて!こうグッとくるやつ!

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