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「かすてら」と「の、ようなもの」の間

一番最近ではいその爺サマのところでご紹介いただいております、「かすてら」ですが、実は私、こうしてお出しできるものの陰で、大変なスランプに陥っておりました。

かすてら作りの大まかな作業は「生地つくり」「泡切り」「焼き」の3つに分かれているのですが、私の場合、生地を流し込んでオーブンに入れてから3回に分けて行う「泡切り」についてはほぼ完成した感があります。10分間という間の中で、時計を見ずにほぼ毎回秒単位で同じ時間配分にて3回の泡切りをこなせるようになってきています。そこは多分もう大丈夫。

今回のスランプの根っこは「生地つくり」にありました。

かすてらを焼き始めた最初の頃は「いかに泡立てをして、嵩のあるかすてらを焼くか」に主眼が置かれた焼き方をしていたのですが、そこから1歩進んで今は「肌理の細かいかすてら」を焼くために、いかに泡立てすぎを回避してギリギリのところを狙っていくか・・・というところへ進化してきているのです。

泡立て過剰な生地は確かに嵩のある「かすてら」になるのですが、その一方で「乾きやすいかすてら」でもあるのです。本枠いっぱいまで膨らめば十分で、その上に重ねた枠まで膨らませる必要はないのです。

その為には生地つくりの時に、ぎりぎりの泡立てでストップさせることが求められるわけですが、そのギリギリのところを狙っているうちに、だんだん訳がわからなくなってきた、というのが今回のスランプの原因でした。

6個の卵と大量の砂糖とザラメを混ぜて火にかけ、砂糖を溶かしてから大きな泡だて器でわんわんと泡立てるのですが、自分の腕には「弱」「中」「強」なんていうダイヤルがついているわけでもないので、「中」で6分・・・なんて正確には計れないわけです。目と手の感触で「ここまで」と見極めなければなりません。

その「見極め」センサーが狂った・・・というのが今回のスランプ。

ぎりぎりを狙いすぎたあまりに泡立て不足の生地を焼くと…出来上がるのは「(かすてら)の、ようなもの」です。

今回も多分「の、ようなもの」が出来上がってしまうんだろうなぁ・・・と思いながらもオーブンの前で待機しながら、枠をのせたり温度管理をしたり、ガス抜き作業をしたりして過ごす時間の切なさよ・・・。

「の、ようなもの」ができてしまったら、それはトースターで焼いて食べるとなんとかなりまっせ・・・と前回の秋の品評会の席では冗談交じりに話しましたが、そのうちさらにスランプの度は増し、飛び切りのが焼けた日の次の日には「の、ようなもの」どころか「どころではない」というものが焼けてしまったり…乱高下が続いていたのであります。

ご注文いただいた方に「とてもお出しできるものではないので、もう1週間お待ちください」とお詫びしてもう一回チャンスをいただいて焼いたときには、真底、かすてらを焼くのが怖かったデス。

そういう心境にこちらが陥っているのは登戸の先生も手に取るようにわかっていらっしゃる反面、本人の問題ゆえ、技術的なことは何もおっしゃらずに、ただ「焼酎のビール割」を用意して「まぁ、焼く前にまず飲め」とおっしゃるばかり・・・。(笑)

でも、焼くとお約束している以上、焼かねばならぬわけでして、それはある意味本当にありがたいことでもありました。ご注文でなければ逃げかねなかったデス。

そして、「泡立て過剰になってしまう癖があるのなら、開き直ってその生地でなんとかしようじゃないか、今は!」という結論に達し、やっと立ち直りました。

昨日もどう見ても「泡立て過剰だろ~」という生地を、3回の泡切りでどうにか鎮め、そこそこ良いかすてらを焼いて、待っていただいている方へお送りしてきたところです。

かすてらは決して難しいものではありません。まるで一つの儀式のように型通りの動きをして焼いていく様をご覧になれば、いったいこれのどこが難しいのサ?と思われると思います。

会の先輩の中にはいつもぶれずに同じ良いかすてらを品評会に出す方がいらして、「あの先輩のようにどうしたらなれるんでしょうか?」とスランプのあまり、先生にうかがってみました。「だってMさんは何に対しても慎重だもん。生地を作るのも泡切りするのも、普段のケーキを作るにしても、静か~だよ。」と。

つまり、アタシは「慎重」ではなく常に気持ちが上にいったり下にいったり、波立っているからこういう「かすてら」なわけなのね。

それをムラがある、ととるか、生き生きしている、ととるか、なわけでして。

いまさらこのムラッ気の多い自分の性格を直すのも無理なので、せめて「生き生きとしている」「勢いがある」と捉えていただける程度に、自分をコントロールしていく術を身に着けていかねばならない・・・と肝に銘じております。

11月の課題はいったん泡立て過剰を許した自分の生地を、どうやって元の抑えた生地まで戻していくか・・というところです。それって結構今の自分には怖いことなんだけど、少しずつ修正を加えていこうと思っています。

11月、ご予約の皆様、そんなわけでいつ届くかわからないかすてらを気を長くしてお待ちいただけると助かります。そして皆様のところに届くのはけっして「の、ようなもの」ではなくちゃんとちゃんとの「かすてら」に限っていますので、その点だけはご安心ください。

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の、ようなもの」は私と羊とでトースターでこんがり焼いて消化しております。

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コメント

拙ブログのをご紹介頂き有り難う御座います。

匠ならではの悩みがあるんですね。
単純に思える作業ほど奥深いのは、まさに職人の世界です。
そうそう! 職人山さんの御出演がなくて寂しく思っております。
呉々も宜しく御伝え下さい。(笑

ところで、のようなもの…焼くと美味しいのですか?

>いその爺サマ

山さんはりんご仕事が立て込んだ10月が終わり、少し気が抜けたようで、持病の腰痛が出たと言ってます。タコ社長としてはどこかに湯治でも行かせたいのですが、なかなかそんなゆとりもなく、恒例の2月の社員旅行までお預けです。
そんなわけで腰をさすりながらTVの旅番組を見ているようです。

「の、ようなもの」は大概、通常より目が詰まって水分が抜けきっていないために「の、ようなもの」になっているわけで、トーストすることで余分な水分が抜け、表面のちょっとカリカリした感触も楽しめます。
そのまま食べるよりかなりマシ、といった程度です。

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