ランチミーティング
ここだけの話、最近営業本部長の機嫌がすこぶる悪い。先日のランチミーティングの席上でも財政部長を巻き込んで、かなりのボルテージで下期の生産体制、ならびに営業見通しについて異議申し立てをしてきた。
どこの世界でも営業と生産現場との軋轢は付きものだと思うが、営業本部長の怒りの矛先は製造責任者である工場長を飛び越え、いまや経営者の私にまでむかってきている。
うちの今の態勢が製造現場に甘すぎる!という不満が営業本部長の本音なのだと思う。
営業本部長曰く・・・・お客様が求めている以上、製造現場のプライドなんか捨てて、「お客様の欲しいものを欲しい形」で提供するのが商売の筋ってもんじゃないのか?それを「キャラクターものはやらないだの、今の時期はそれは旬じゃないから作れない」だの言って断るし。「苺のショートケーキ」はどこのケーキ屋だって夏にも必ず店頭に並べているじゃないか。今は国産だって夏の苺の品種があるっていうのに。
だいたい、急ぎの注文は全て断ってるっていうこと事態が大きな問題で、もっとどんな状況でもすぐに対応できるような生産体制を早急に作る必要があるっていうのに、工場長の顔色ばかり伺っているから、いつまでたってもうちの商売の規模が膨らまない。それがもとで、大きなビジネスチャンスをいくつ逃したと思っているんです、え?博報堂さんからグラビアアイドルのデカイバースデーケーキの注文だって、箱のストックさえあれば、受けられたんですよ。そうしたら今頃、博報堂さんとの太いパイプも出来て、グラビアアイドルのオネエチャン達のバースデーケーキはうちが独占できたんだ!
・・・と鼻息が荒い。話題の中心である工場長は、というと隅で下をむいてボソボソとパンを食べている。オヤジさんも歳をとったなぁ・・とその肩を見て思う。
「ま、ま、山田部長、そうはいってもうちは製造あっての商売だからさぁ。最近、山さんの肩の調子もいまひとつだから、今くらいのペースでちょうどいいくらいなんだよ。」
「社長!お言葉ですがそうやって、いつも山さんをかばってばかりいるから埒があかない。だいたい社長が無策だから売り上げもず~っとここのところ横ばい状態じゃないですか!」
その言葉にはかなりムッときた。私が押し黙り、重い空気が食卓を包んだその時、今までずっと黙っていたオヤジさんがひょいと顔をあげて、誰に言うでもなくつぶやいた。「ところで、最近山田部長がとってきた注文ってどれでしたっけねぇ?大口ってここのところまったく受けてないように思ったんだが」
その一言で山田部長は素麺をすすっていた箸をテーブルに叩きつけて席を立ってしまった・・・・。そういえば最近、こちらから仕掛けた商売はほとんどないなぁ。要はそこらへんも含めての山田営業本部長のあせりがあったのかもしれない。あとで、部長とはよく話し合ってフォローしておこう。
というわけで、私は一人三役のランチミーティングを終え、素麺の汁をすすりこみ、ぼそぼそしたパンを飲み込んで、お昼に素麺と菓子パンなんてひどい食生活だなぁ、と思いつつ午後の作業に突入いたしました。
ランチミーティングの結果、下期のキッチン山田の活動は従来どおり製造担当のおやじさんの肩の調子をみつつ、ゆるゆると活動してまいります。ただし、山田営業本部長の言わんとすることも一理あるので、どんな状況でも対応可能な生産体制は整えていきたいと思っております。大荒れのランチミーティング後、営業本部長と腹を割って話したところ、山田部長も「下期にはイベントを仕掛けて、営業として大きく貢献したい」という前向きなことを言ってくれたので、その発表も大いに期待して待ちたいところです。
付け加えるならばキッチン山田の基本方針「夏に苺のショートケーキなんか誰が作るか!」「アタシにキャラクターもののケーキなんか作れるか!」という2点に関しては絶対揺らぐことはないと、アタシの中のおやじさんが強く言い切っておりまする。
こちらは先日のブレーメンのレッスンで午後のS崎さんが作ってくれたシュヴァルツヴェルダー・キリッシュトルテ。ひと月遅れでのレッスンだったのだけれど、アメリカンチェリーがまだ出回っていたので瓶詰めを使わずに済みました。良かった♪
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